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犯罪者の生い立ち




大学時代、刑事学というゼミに在籍していて、少年院を見学したり、過去の凶悪犯人の生い立ちを調べたりしたことがある。犯行そのものは卑劣極まりない残虐性を帯びていて、犯罪者には許されるべき余地が全くないかのように思えるのだが、彼らの幼少期の環境を見ると、およそ人間らしい情を持って育つわけがないといえるほど、劣悪な生い立ちが浮かび上がる。

愛情をたくさんもらって育った子どもは、やがて同じように人にも注げるようになるだろうし、冷淡な仕打ちを沢山受けて育った者は、息をするのと同じように悪行を重ねる。もちろん、劣悪な家庭環境で育ったからこそ、人の痛みをたくさん学び、情の厚い優しい人に育つ人もいる。運良く家庭以外に素晴らしい大人に恵まれたか、本人の生まれもっての強さがそのように導いたのであろうが、多勢は育ったように大人になってしまう。

犯罪被害者やその遺族にとってみれば加害者は悪魔であるが、犯罪者の多くは、ロクな家庭環境も教育も与えられず世間に放り出され、世間から見捨てられた、弱くて未成熟な人間たちなのだ。

今から27年前、大阪交野にある女子少年院に見学に行った時、彼女たちの作文を読ませてもらった。犯行に至るきっかけや心理状態について彼女たちは同じように語っていたのが印象的だ。

「母親の心が自分にはなく他に向いていた。」「母親の愛情がもっともっと欲しかった。」

「女の犯行のかげには男あり」というのが定説であるが、そのもっと前の段階の、子が大人として育つ過程で、最も近しい同性である母の愛が得られていないことが、一番大きな要因であると知った時、当時独身ではあったが、将来母になった時の責任の重さを知ったものだ。愛への渇望が、人を利用し貪る男の餌食となっている構図が浮かび上がるのだ。

全ての母に、母性を求めるのは無理があるとしても、成長過程で子どもを理解し尊重し、その成長を目を細めて喜んでくれる存在があれば事足りるのだ。未熟な大人が多すぎて、自分の気持ちばかりが優先して、大切な育児を放棄している現状が、不幸せな人間を輩出してしまうのだろう。薄情な世界に育った大人が、またまた同じような育児を繰り返すのだからたまらない。「自分は嫌だったから我が子にはしない!」という強さや優しさが欲しいところ。

ジムに少年院の刑務官をしている紳士がおられるが、「愛情豊かに育った子かどうか、ひと眼で分かる。」と仰る。人は飯だけ食って生きていけるものではない。それと同等かそれ以上に親の情をたっぷり享受できなければ、健康な「人間」には育たないものと思っている。先に生れたものとして、当然自分より後に生れた者には優しくしなくちゃね。

躾け、教育のためという大義名分のもと、自分より弱いもの幼きものを殴っているアナタ、あなたは犯罪者ですよ。自らの生い立ちを振りかえって、「負の連鎖」はあなたの代で断ち切ってください。
by kaori40712007 | 2013-02-16 09:04 | 育児・教育 | Comments(10)
Commented by buginnose at 2013-11-20 17:26 x
今晩は
初めまして。本分拝読致しました。論旨に同感です。犯罪者の生い立ち
は概ね仰る通り、母親の愛情不足が凡ゆる犯罪者に共通する要因です
ね。自我の成立過程の初期段階、就中授乳期に於ける愛情不足は非常に重要ですね。大抵の犯罪者に共通して、この時期の母子間に健全な
関係性が成立していないのですよね。この時期の母子間の心のキャッチボールが欠落すると自我防衛機制が発達しないのですよね。
枚方の奥に交野町が有りますね。女子の矯正施設がそこに有るとは知りませんでした。母の気持ちが自分に向いて居なかったというお話に心が
痛みました。こちらはyahooですので、TBを貼り付けられませんですよね。yahooには転載機能が設定されているので、転載させて頂けるの
ですが・・・・・・。とても参考に成りますので残念です。勝手な事を長々と
カキコして仕舞いました。お許し下さい。m(_ _)m
時節柄、御身ご自愛下さいませ。
Commented by kaori40712007 at 2013-11-22 10:28
はじめまして、コメントいただきありがとうございます。幼児期における家庭環境の大切さを学生時代に学べたことが、その後の育児に非常に役立ちました。仰るように授乳期、言葉を介さなくても快不快に対し周りの大人が敏感に察知してやることが、その人の包容力や柔軟性寛容さに大きく影響を与えると思いますね。交野の女子少年院、忍び返しの有刺鉄線が外からの侵入を防ぐために、塀の外向きに反っていたのが印象的です。
ブログを拝読させていただきました。心理や社会学に非常に興味があるので大変勉強になります。TBの件ありがとうございます。お気持ち大切に頂きました。このままの形態で申し訳ありませんが、今後ともよろしくお願いします。
Commented by ihoko at 2014-03-06 14:56 x
はじめまして・・ラバンさんのブログからお邪魔しました。
刑事学ですか?実に面白そうな学問ですね。犯罪学は聞いた事がありましたが、こちらで、初めて知りました。

2~3の別の記事も読ませていただきましたが、ご自身の明確な目線を持っておいでで、うなずきながら読ませて頂く箇所も多かったです。

そのひとつ、品格。確かに、教養というか、日々の積み重ねは顔に出ますね。私はイタリア在住ですが、育ちも生まれも、その後の教養も 日本よりもイタリア人の方がダイレクトに顔に出ている感があって、こちらに来てから、余計、物を思う事も増えました。
また、寄らせて頂きますね。
Commented by kaori40712007 at 2014-03-06 20:06
ihokoさま、ご訪問ありがとうございます。そうですか、大好きなラパン様のコメント欄で出逢えたのですね。嬉しいです、コメントありがとうございます。「刑事学」は、「刑事政策」とも言われ、刑法を学ぶほか、犯罪の裏に潜む人間の心理や罪と罰との関係や、刑罰が犯罪者に与える影響などを研究する学問です。恩師は「犯罪者の社会内処遇」の研究者で、犯罪者であっても刑務所内に拘束せず、監視下における社会生活の中で更生させるべきだという穏健派の先生でした。大好きな先生で、今でも交流があります。わたしは特に死刑囚の収監中の心理や死刑の犯罪抑止力などに興味があり、犯罪者の心理を深く研究することに時間を費やしました。結局今の生活には直接何の役にも立ちませんでしたが、育児をするうえでのなぜか大きなヒントが沢山あったのは面白いことです。
Commented by kaori40712007 at 2014-03-06 20:07
イタリアの人々の方がお顔にお人柄が如実に刻み込まれているのはなんとなく想像がつきます。日本人はポーカーフェイスですものね、表現力ではとても及びませんよね。長くお住まいでしたら、ihokoさんのお顔も豊かだと思います。
ihoko様のイタリアでの生活にもとても興味があります。もしブログをお持ちでしたら是非ご紹介くださいませ。今後ともよろしくお付き合いお願いします。♪
Commented by ihoko at 2014-03-06 20:45 x
ご丁寧なご返答ありがとうございます。
伺えは伺うほど なお、面白しろそうな興味深い学問ですね。若い頃に、もっと視野が広ければ、色々な事を学ぶきっかけが掴めたのでしょうが・・残念です。
と・・拙ブログではありますが、、私は、ラバンさんともう一方との三人で三都物語をやらせていただいております。お手数ですが、ラバンさんのところにURLがあると存じますので、お時間が許される時にでもご覧ください。(ただ、私はイタリアが大嫌いですので、それが随所に出ておりまして、私の生活などは、余り、参考にはならないかと存じますが・・)
Commented by kaori40712007 at 2014-03-07 07:07
大変失礼いたしました。ihokoさん、あの「三都物語」の大人な女性たちのお一人でしたのね。なんて嬉しいのでしょう!!そして、あの笑ってしまう「あみだばば」さんの、語り口をとても好きで、「肩を張って生きず面白おかしく!」というスタンスを、わたしも無意識にとって生きているので、ihokoさんが、巧みに文章でそれを表現されていて、頷くことしきりでした。カナダから帰国して以来、日本女性で気が合う人が少なく(もともと少なかったのが益々・笑)海外在住の方とか、在日外国人と居るのがとても愉しいのです。ihokoさんのイタリアの「嫌いさ」を愉しみに、ブログをゆっくり堪能させていただきますね(笑)。悪口は真実を語るから大好きです(笑)。
Commented by ihoko at 2014-03-07 19:02 x
カナダは良い国のようですね。私も結婚前、夫がカナダに行くかもという話があったので、それに釣られて結婚したようなものでしたが、いつの間にか立ち消えになってしまいました。無念。
本当の友人に逢えることは、まさに神の僥倖。そんなに簡単に友人なんてできるもんじゃないんですが、が・・友人が多いこと=良い人というイメージを植えつける風潮の中では、浮いてしまう事も多いですね。
イタリアは、イメージとは正反対の表と裏のありすぎる国であり、友人という言葉を、日本よりも更に安っぽく、寒々しい使われ方をする国だと思います。で、完全な裏社会、コネ社会で、実力や努力など何の意味もなさないという事を嫌というほど教えてくれる国なので、それがね、我慢できないんですよ。
お嬢様、受験でしょうか?桜が満開で咲いてくれること、心からお祈りいたしております。
Commented by kaori40712007 at 2014-03-07 20:30
一年半ほどしか住んでいなかったので、嫌な面を沢山見る前に帰国したからでしょうか、カナダはとても面白い国でした。移民の寄せ集めで地球儀のような国とでもいったら的確でしょうか、日々移民街を散策して世界中の言語や食べ物、民族衣装や音楽に人々と接することが出来ました。リトルイタリ―もよく行きましたよ。大都会から少し離れると森と湖がたっぷりありましたので、トレッキングの愉しかったことったらない、自由を満喫しました。
帰国後、日本社会が窮屈で「イイ人なんかクソくらえだ!」と割り切ると、煩わしい人間関係から解放され、再び精神の自由を取り戻し、毎日快適に過ごしています。浮いていることには何の抵抗も無く、むしろ皆と一緒でないことの方が自分にとっては自然です。子どもの頃から群れるのが大嫌いで、人間は大好きですが、自分と向き合う方が愉しいことが多かったからか、気の合う素敵な友達としか過ごさないようになりました。それでも子どもたちは地域社会で何の不自由もなく皆さんから愛されすくすく育っています、変わったお母さんの可哀想な子達と思われいているかも(笑)。
Commented by kaori40712007 at 2014-03-07 20:39
イタリアの実情、とても興味深いですね。遺跡や美術品や家具の美しさといったら目を見張りますでしょう!?食文化も豊かだし、屈託のないイタリアの人々の笑顔も好きでした。けれど、努力や実力が報われないというのは何ともだらしのないことですよね。コネなど無い方がスッキリして良いし、新しいものをどんどん作って行くという点では、実力社会である方が良いのに。。。古き良きものに守られている国ならではの、ぬるま湯世界なんでしょうね。
それにしても、ihokoさんのブログは刺激的!私が常々感じているけれども稚拙な表現力の為、自分の心の中でさえまとまっていないことが、洗練された文章でガンガン迫ってくるため、今日一日くぎ付けで拝読させて頂いていますよ。しかも追ってコメントいただけて、天にも昇る気持ちです。

その上、娘たちにまでエールを頂きありがとうございます。高校受験の娘は国体選手になるため剣道の強い高校に合格しました。長女は建築家になるため受験した大学の合格発表が明日です。どうなりますやら(笑)。




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楽しい日々♪


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